こんにちは!エモーショナルスクリプト®セールストレーナーのたかぞうです!
本日は『クロージング力』!!
特に「交渉術」についてお話していきます。
これは、以前お話した、返報性の原理、一貫性の原理の応用編ともいわれる交渉術。
ご紹介する心理学は以下の3点です。
①フット・イン・ザ・ドア
②ドア・イン・ザ・フェイス
③ローボールテクニック
どれも、ビジネス心理学では、定番ともいえる知って得するセールスのテクニックです。
あなたは、こんなことを感じたことがありませんか?
・断れれるのが早い、粘れない
・妥協案を見出せない
・クロージングが弱く感じる
・営業にむいていないと感じる
こういったことに心あたりがある方には必読です。
それは、もしかしたら、うまく話しをもっていけていないのかもしれません。
もしくは、あなたの提案の仕方が単調で、断りやすい可能性があります。
この心理を理解することで、粘り強さ、狡猾さ、巧妙さといったセールスの地力をつけるためのきっかけにしてください。
そんな僕も、もともとは何処にでもいる平凡なセールスマンでした。でも、こういった心理学的な要素を現場に取り入れていくことで、少しずつ成績を伸ばすことができました。
10年間で営業会社5社、訪問販売や提案営業、テレアポといった職種を経験し、実演販売の会社ではトップセールスマンになりました。そこから販売代理店として起業して8年、現在は、独自のセールス手法を紹介しながらトレーナーもさせていただいてます。
その経験と独自の視点で、あなたに役立つ実践方法をお伝えしていきます。
目次は以下の通りです
返報性・一貫性の原理という心理
今回紹介する3つの心理学は、返報性や一貫性の原理という人がもつ心理がもとになっています。
これは、以前取り上げさせていただきましたので、詳しく勉強したい方は、こちらもあわせてご覧ください。
一貫性の原理
自分の言動や態度、信念などを一貫したいと思う心理。
返報性の原理
人は他人から何か施しを受けた場合、お返しをしなければいけない、もしくはしたい、このような感情を抱く心理。
どちらも共通しているのは、判断するときの意思決定の基準が、本来考えなくてはいけない部分ではなく、「お返ししたい」、「一貫したい」といった欲求を優先して、決断、行動を起こしてしまうという点にあります。
たとえば、
以前そのセールスマンに良くしてもらった。だから、別に必要でもないけど、その人が紹介する新商品を購入する。
このセールスマンは素晴らしい方だ。だから、別に他を探さず、または、調べず、この人が良いというから購入する。
こういった、心理をいいます。
これらの心理は、日本人の好きな、「お礼」、「恩義」、「感謝」、「礼節」、「ごひいき」などの言葉を生むほどまでに昇華する、人付き合いの『美』とされるような感覚かもしれませんね。
でも、逆にいえば、「お返し」をしない人や、「信念に一貫性がない」といった人は、『人として間違っている、ダメだ』こういった心理もはたらいてしまいますから注意が必要です。
交渉術では、この一般的な人の心理を、コミュニケーションに取り入れることで相手の『YES』を引き出します。
では、そういった心理を引き出すためには、どのようなテクニックがあるのか?
そのテクニックが今回紹介する、以下の3つになります。
しっかり覚えていきましょう。
ビジネス交渉術としての3つの心理学
①フット・イン・ザ・ドア
一貫した態度を守りたいという心理(一貫性の原理)を利用した、説得、交渉のテクニック。
最初に、承諾しやすい頼みごと(要請)をお願いして、イエスを取ることで、その後に大きな頼み事(要請)をしかけて同じくイエスをとる方法です。日本語では「段階的要請法」ともいいます。
つまり、最初の承諾という態度を一貫したい(変えづらい)という心理です。
たとえば、
車屋さんに行って、タイヤが傷んでいるので交換をすすめられた。
確かに、と思い、購入することを決めたけど、なぜか、最終的には、車ごと買いかえることになった。
たとえば、
寝具屋さんにいって、枕を買うことになった。
買うことを決めたけど、いつのまにか、掛布団、敷布団、毛布もセットで家族分買うことになった。
たとえば、
区画整理で、敷地を少し、業者さんに売り渡すことになった。
いつのまにか、敷地全てを売渡し、新居を購入することになった。
たとえば、
ショップで欲しいものを安くみつけることができた。
でも、今はセール中ということで、セットで買うとさらにお得と言われ、結局高くついた。
どうでしょうか。
そんな経験や似たような経験、あなたにもあるのでは?
ここで、気をつけておきたいことは、小さな要望から大きな要望を提案する時の落差です。
あまりにも、けた違いや、労力を要する要望は通りにくくなりますから、塩梅(あんばい)が必要になります。
まあ、いいか
これくらいで、感じていただける段階的な要請を考えてみてください。
②ドア・イン・ザ・フェイス
こちらは、お返ししたいという心理(返報性の原理)を利用した、説得術、交渉術です。
はじめに、おおきな要求をして、断らせておいて、それよりも小さな要求をのませてしまう方法ですね。日本語では「譲歩的要請法」といいます。
つまり、譲歩された(ゆずってくれた)から、こちらも譲歩しようというお返しの心理です。
たとえば、
洋服を見に行きました。欲しいものが見つかったけど、金額が高い。
一度断ったけど、じゃあ、そんなに気に入ってもらっているならと、消費税をおまけしてもらった。それなら買いましょうと購入することになった。
たとえば、
イベント会場を探していた。でもそこを借りるには、少し広すぎた。
会場の管理会社が、その分、手伝うスタッフをあちらから出すと言われた。それなら、そちらでお願いしよう、ということになった。
このケースもいろいろと策を講じることができるかと思います。
金額を高めに設定しておいて、いったん断らせる。値切られて、安く決まるのだけど、こちらの思惑の範囲内で契約するなど。
または、「いくらなら買いますか?」と聞いて、「○○なら」、「わかりましたその値段でいいですよ」と言えば、相手は断りにくくなります。
買うといった以上、その態度を一貫する原理もはたらくし、返報性的な、お返しの原理もはたらきます。
③ローボールテクニック
おさらいです。
フットインザドアテクニックは、
小さな承諾から大きな承諾へ。(一貫性の原理)
ドアインザフェイステクニックは、
大きな要望から譲歩して小さな要望の承諾へ。(返報性の原理)
ローボールテクニックは、
好条件の承諾からの悪条件の承諾へ。(一貫性の原理)
ローボールテクニックとは、はじめの段階で、好条件で承諾しやすいものを提示し、承諾を得てから、悪条件のものを追加で承諾させるテクニックです。
これは、フットインザドア同様、一貫性の原理を利用したもの。
一度、イエスと言ってしまった以上、その態度を一貫する心理で、断りづらい心理がはたらくことを利用したものですね。
たとえば、
30% オフのセール中の看板をみて入店した。
レジに持っていったが、対象外商品だった。でもレジに並んだ以上、断りづらくそのまま購入してしまった。
たとえば、
靴屋さんで、気にいったデザインの靴が見つかり、購入しようと思った。
でも、在庫が色違いしかなかった。買うといった手前、当初と違う色の靴を購入した。
など、など
消費者の立場から言えば、「おい、おい、勘弁してくれよ」ということだらけの気もしますが、いわゆる後出しジャンケン的な交渉、説得術ですね。
練習方法
セールスの世界で差が出るのは、そのテクニックを知っているかではなく、それが出来るか、の違いです。
つまり、いくら理屈がわかっていても、お客様の前でパフォーマンスができなければ、意味がないということ。
そして、出来るようになるためには、反復練習が必要なんですね。
そのためにはカタチが必要です。反復するためのカタチです。
ですから、今までご紹介してきた中で、なるほど、取り入れてみようと思ったことを、トークとしてカタチとしてまとめて下さい。そして、お客様の前で表現ができるように練習しましょう。
1番効果的なのは、台本づくり、脚本づくりです。
話す言葉だけを書き出してもいいでしょうし、それにアクションや場面設定を書き込んでいってもいいでしょう。とにかく、あなただけのマニュアルを作っていくことをおすすめします。
そして、さらに学んだこと、経験したことを書き加えて、ブラッシュアップしてください。
特に、今回紹介した、説得、交渉術は、クロージングという終盤戦で発揮できる内容です。
クロージングの営業トークに、これらの心理学を取り入れたものを実際に作ってみてください。それが必ず現場で活きてきます。
セールス脚本(スクリプト)の作り方がわからない方はぜひ次の記事も読んでみてください。
まとめ
ローボールテクニックの補足
僕個人的には、セールス心理学の中でもこのテクニックは悪意のあるセールス手法のように感じてしまいます。
あなたは、どうでしょうか?
そこで、僕なりに考えました。
お客様が商品を購入、契約する理由を考えた場合
・悩みの解消
・経済的なお金の部分(価格)
・その手間
この3つが購入理由として一般的には挙げられると思います。
悪条件をこちらから提示してもなお、成約が成りたつことを考えると、やはり、お客様の悩みを解消ができるというのが大前提にしたいものです。価格の部分や手間の部分、その他の詳細が少し希望と落ちても、という意味です。
少しだまして売るというニュアンスを得てしまいがちですが、現実的に、この「ローボールテクニック」を使う際は、私たちにとって「悩みの解消」以外の、交渉のデメリットになる部分を、最後にもってくる。
これくらいの感覚でとどめておきたいですね。
もちろん、悩みというのは、千差万別です。ですから、すべてが完璧にお客様の希望にそう、そんな商品やサービスは、なかなか無いのではと思います。
ある意味、その希望に沿わない部分をどの様に見せていくのかという部分は、非常に大切なので、だます方法ではなく、交渉のテクニック(話の順番やもっていき方)として捉えてもらうといいのではないでしょうか。
それでは、本日は以上です!また次回お会いしましょう!
たかぞうでした!